電子の海でダンスを

ライターの雑記帳。仕事じゃないのでゆるーく書いてます。

【映画】スラムドッグミリオネア感想!兄サリームが辛くて萌え!【★★★★★】

()スラムドッグ$ミリオネア (字幕版)


スラムドッグ$ミリオネア 予告編

 

スラムドッグミリオネア、面白かったです。

インド版クイズミリオネアに出演した、インドのスラム出身の孤児、ジャマールのお話。

クイズミリオネアは、日本でもちょっと前にみのもんたさん司会で放映していました。

覚えている方もいるかもしれません。

 

とても良い映画でした。

各賞総なめだったという話もさもありなんという感じです。

 

この映画、主人公のジャマールが、クイズミリオネアで大金を手にするか、あるいは一文無しになるか、という話……は実はメインの話ではなく、

スラム出身のジャマールとサリームの兄弟と幼馴染の女の子ラティカが、困難から抜け出し、幸福を掴み取ることができるのか!?という話がメインです。

 

主人公ジャマールの独白で始まり、兄サリームと幼馴染ラティカ、3人の人生が語られる形で話が進んでいきます。

私が姉という立場上、主人公のジャマールよりも、ジャマールを手助けする兄、サリームの方が印象に残りました。なんかこう、下の兄弟を助けようとする上の兄弟に感情移入しちゃうんですよね、私。

 

この映画、主人公のジャマールは素直でいい子で、優しい頑張り屋さんです。

対して、兄のサリームはずるく立ち回り、主人公に対して辛辣な仕打ちをしたりと、一見すると悪役じみて見えるんです。

…が、本当は弟ジャマールの決定的なピンチを、なんども、なんども、その機転と賢さで救いだすヒーローであり、弟想いの兄ちゃんなんですよね。

 

ジャマールが映画が描き出す夢と理想を背負い、幸運を体現するものであるなら、

サリームは夢のない現実を背負い、体現する者でもあります。つらい! 

 

表の主人公がジャマールなら、影の主人公はサリーム

 

主人公ジャマール、その兄サリーム、少女ラティカ。

3人の孤児は、孤児をあつめてお金稼ぎをしているママンのもとに保護されます。

 

しかし、恐ろしいことに、ママンは歌のうまい孤児の目をつぶして、物乞いをさせていました。そうすれば普通に歌の上手い子よりも、もらえる金額が増えるからです。

サリームはジャマールを呼び出すように言いつけられます。

歌の上手い弟が、目をつぶされると悟ったサリーム。彼は決断します。

「弟を助けよう!」

そして行動を起こすのです。 

硫酸をママンの手下に浴びせかけ、弟の絶体絶命を助け出したサリーム。

ジャマール、サリーム、ラティカは、そのままママンのもとから逃げ出します。

首尾よく電車に飛び乗って逃げ出す兄弟、しかし、ラティカだけは逃げ遅れて捕まってしまいます。

 

「ラティカを助けに戻る」という弟を、

「戻ったら殺される!」と引き留める兄。

 

現実的に考えれば、兄の言うとおりで、ここで戻ったら、全員が破滅です。

サリームはラティカを見捨てて、弟を救ったのでした。

 

その後、彼らは売春宿でラティカに再会します。

そのとき、ピンチのラティカを救うため、ママンを撃ち殺したのも、サリームでした。

 

硫酸をママンの手下にかけたり、ママンを撃ち殺したりと、誰かを助けるために、実際に手を汚すのは兄サリームで、ジャマールが決して穢れないのと対照的です。

表の主人公がジャマールなら、兄サリームは影の主人公と言ったところでしょうか。

 

最後の最後、マフィアに囲われているラティカに車のキーをもたせ、携帯を持たせ、マフィアのもとから逃がしてやったのもサリームです。

そんなことをしたら、自分の命が危ないのも全部わかっているのに。

 

「あなた、殺されるわ」

ラティカの言葉に、

「俺に任せろ」

とサリーム兄ちゃんは言うんですよね。

これが私はものすごく切なく思いました。

俺に任せろ。

彼は現実の汚い物を一手に引き受けて、弟ジャマールとラティカを救い出すのです。

自分を犠牲にして、ラティカに自由への扉を開けてやる。

「幸せになれ」

と言い残して。

 

 

クイズミリオネアでのラスト問題がせまり、テレビで注目を浴び、人々の興奮と期待と熱狂の頂点の中にいるジャマール。

その同じ時、兄はラティカを逃がしたことがマフィアにばれ、バスルームに籠城していました。

バスタブにはありったけの札束、その札束の海の中に埋もれながら、兄はただ一人孤独に籠城していたんです。

死ぬかもしれないその間際に、バスタブいっぱいの金の中に埋もれるサリーム。

一見、金の盲信者のようにも見えますが、それは多分、違うはずです。

彼の行動原理は「弟を助ける」ということ。

そんな彼がどうして金に執着し、バスタブ一杯の札束の中に埋もれているのか、それはきっと、

 

『金さえあれば』

 

という思いが彼の中にあったからなんじゃないかなぁと思います。

金さえあれば、こんな目にあわなくてすんだ。

弟が失明させられそうになることもなく、自分が人を殺すこともなく、貧しさの中で苦難にあえぐこともなく、バスルームで命がけの籠城をすることもなく、ジャマールもラティカも、自分も、全員が笑って暮らせただろう、金があれば、金さえあれば。

 

この、「金さえあれば」というのは、映画だけでなく、インドの貧困の中で今もなおあえいでいる子どもや貧者の現実なのかもしれません。

 

ジャマールとサリーム、そしてラティカ、それぞれの結末は是非映画で見てほしいですね。

インド映画特有のダンスが全然なかったので、ラストまでないのかな?と思ったら、ほんとのラストのラストでやっぱりインドダンスがあってそこもよかったです笑

そして、このインドダンス、ママンの元にいた目をつぶされそうになる直前のジャマールとラティカが約束した、

「月の下で踊る~」

というフラグの回収にもなっています。

 

というわけで、今回はあまり本筋に関係ないサリームの話ばっかりしました。

だって兄ちゃんに萌えたんですもん。

映画の本筋はあんまりそこではないので、この感想を読んだあとでも楽しめると思います。ぜひ見て下さいね!

ミリオネアクイズにでてくる、三銃士の暗喩がジャマールとサリームとラティカだとか、ちょこちょこ面白いポイントなんかもあったりしますし、ラティカ役の女優さんもとってもキュートでよかったですし。

 

それにしても、この映画の原作は、インド人外交官のヴィカス・スワラップの小説『ぼくと1ルピーの神様』

 

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なのですが、この小説の中にサリームは存在しません。

つまり、映画オリジナルの登場人物が兄サリームなんです。

そのあたりを考えても、監督はどういう考えでサリームという人物をこの映画に登場させたのか、すごく興味深いですよね…。

主人公の表裏としているのではないかと私は思いますが…!

 

 

スラムドッグミリオネアは、ずいぶん昔見た映画で、その時もとってもよかったな~と思ったのですが、最近になって、アマゾンプライム(※今年入りました)で無料配信されていたことに気がつき、(主に兄ちゃんのサリームみたさに)見直してみたらやっぱりよかったので感想をば。

 

文句なし★5なので、気になった方、ぜひぜひ見て下さいね~!

アマゾンプライムに入っている人は無料で見れます。

アマゾンプライム、年間3900円なのにマドマギとかもゼロ円で見れるのでなかなか良いです・・・!  

 

あと、私が個人的に大好きな町山師匠もスラムドッグミリオネアを解説していますので、良かったらきいてみて下さい~!

 


町山智浩 - スラムドッグミリオネア「圧倒される面白さ!」